2024年最新の不動産価格指数!算出方法や活用方法も徹底解説

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コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻が世間を騒がせているなか、不動産の売買を検討している場合、不動産価格にどのような影響を及ぼすのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

そんなときに役立つのが、国土交通省が公表している不動産価格指数です。

ただし、不動産価格はさまざまな要因が絡み変動するため、不動産を売却・購入を検討している場合は、そのタイミングの見極めが重要です。

この記事では、不動産売却や不動産取引に興味のある方に向けて、最新の不動産動向を知るうえで便利な不動産価格指数に関する情報を詳しく解説します。

算出方法や活用するメリットなどもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

不動産価格指数とは?わかりやすく解説

2012年8月の試験運用がスタートされて以来、国土交通省が公表している不動産価格指数は、不動産価格の動向を指数化したデータがまとめられたものです。

まれに、2か月分をまとめて公表するケースもあるようですが、基本的に毎月25〜末日に公表されています。

公表される統計データは「住宅」「商業用不動産」の2種類に分類され、年間30万件に及ぶ実際の取引価格をベースに作成されています。

世界的な金融・経済危機を背景にIMF等からG20諸国に対し「国際的に共通の指針に基づいて不動産の価格の動向を迅速かつ的確に把握・公表すべき」との勧告がなされました。

このシステムは日本独自のものではなく、IMFからの勧告によって作成された国際指針に従い、物件の立地や特性による影響を除去するなど、統計的な操作を加え作成されてます。

ただし、公表されるデータは対象期間と公表日に3か月程度のタイムラグがあるので、注意してください。

たとえば、2023年4月28日に公表されたデータは、2023年1月が対象期間となっています。

不動産の価格推移を表したグラフ


画像提供元/国土交通省

令和5年4月28日公表されたグラフを見ると、住宅地・戸建住宅・マンション(区分所有)のなかで、群を抜いて数値を伸ばしているのがマンションです。

住宅地や戸建住宅も、ほぼ横ばいながら2021年以降は上昇傾向にあります。

2024年現在、不動産価格が高騰している要因はいくつかありますが、建材の高騰や日銀が進める低金利政策が主な原因です。

不動産価格指数の目的

公表することを目的に作成されている統計データなので、変動する不動産価格の動向をスピーディーかつ正確に把握できるのがポイント。

なぜ、価格の動向を把握して公表するのかというと、金融危機などにおいて大きな影響を受けるだけでなく、その火種となってしまうからです。

具体例として有名なのが、サブプライムローンの問題。

低所得者向けのローンが、世界経済に影響を与え、世界的に有名な銀行が破綻したり、投資をおこなっていた企業が大きな損失を計上しました。

そのため、IMF(国際通貨基金)がリスクを減らすための勧告を出し、各国政府勧告に従い、不動産価格指数を作成して公表しています。

本来は金融危機などのリスクに備える目的で作られたものですが、不動産価格の動向をつかむための指針として、不動産を売買する際にも活用されています。

不動産価格指数の内容

「住宅」と「商業用不動産」の2種類のデータをさらに細かく分類し、指数及び直近の動向のほか、前月比(%)の数値も記載されています。

そのため、前月と比較した価格の推移もひと目で把握することが可能です。

分類は不動産の種類のほかに、エリア別に細かく不動産価格指数及び動向を把握できるように、下記のエリア別でデータがまとめられています。

  • 全国
  • ブロック別(北海道地方・東北地方・関東地方・中部地方・近畿地方・中国地方・四国地方・九州/沖縄地方全9ブロック)
  • 都市圏別(南関東圏・名古屋圏・京阪神圏の3つに分類)
  • 都道府県別(東京都・愛知県・大阪府)

不動産価格指数(住宅)


画像提供元/国土交通省

住宅は、以下3つの用途が対象です。

  • 住宅地
  • 戸建住宅
  • マンション(区分所有)

住宅地は、登記上の地目が「宅地」で、現地調査に基づく類型が”更地”もしくは底地”であるものを指します。

戸建住宅は、建物付き住宅地を意味しています。

また、マンションは、区分所有建物(の敷地)として登記され、専有・種類が”居宅”であるものです。

移転登記されたものを所有としているため、基本的には中古マンションとなり、住宅地・戸建住宅・マンション(区分所有)の用途を加重平均した「住宅総合」の指数も公表されています。

不動産価格指数(商業用不動産)


画像提供元/国土交通省

商業用不動産は下記の7つの用途が対象です。

  • 店舗
  • オフィス
  • 倉庫
  • 工場
  • マンション・アパート(一棟)
  • 商業地
  • 工業地

不動産取引件数・面積

不動産価格指数を補完する目的で、土地と建物が一緒になった取引の件数や面積を示す資料です。

土地と建物が一緒の取引について、取引から約3か月後に、毎月の取引件数及び取引面積を全国・地域ブロック別・都市圏別・都道府県別及び取引主体別に公表しています。

算出頻度は月次で、対象用途は、戸建住宅、マンション(区分所有)、店舗、オフィス。

対象地域は、不動産価格指数(住宅)と同じです。

2024年最新の不動産価格指数

ここでは、2023年4月28日に国土交通省が公示した「住宅」「商業用不動産」の最新の不動産価格指数を紹介します。

不動産(住宅)価格の推移


画像提供元/国土交通省
不動産種別 不動産物価指数
(2023年1月)
伸び率 前年比(%)
住宅総合 134.3 +34.3 0.1
住宅地 109.8 +9.8 -2.0
戸建住宅 117.6 +17.6 0.4
マンション(区分所有) 189.4 +89.4 0.8

上記の表は、2010年の指数を100とした場合の推移です。

上記のデータをチェックすると、2010年からの13年間で住宅地は+ 9.8%、戸建住宅は+ 17.6%と緩やかな伸びとなりました。

その一方で、マンション(区分所有)は、+ 89.4%と倍近い価格となり、不動産の価格上昇としては群を抜いています。

住宅地のみ、前月比で-2.0と減少しているのは、東北・関東・四国・九州/沖縄地方での減少が影響しているのでしょう。

商業用不動産価格の推移


画像提供元/国土交通省
不動産種別 不動産物価指数
(2023年1月)
伸び率 対前期比(%)
店舗 146.8 +46.8 -3.7
オフィス 149.5 +49.5 -3.9
倉庫 106.7 +6.7 +3.3
工場 108.0 +8.0 -1.1
マンション・アパート(一棟) 157.9 +57.9 +1.2
商業地 110.0 +10.0 -0.1
工業地 115.3 +15.3 +4.5

商業用不動産」は住宅用に比べ、商業用の店舗や事務所、倉庫としての利用を目的とした物件があります。

上記のデータによると、2010年からの過去13年間で店舗は+ 46.8%、オフィスは+ 49.5%、マンション・アパート(一棟)は+ 57.9%となりました。

「住宅用」のマンションと比較すると、伸び率は半分程度となっていますが、堅調な推移をみせています。

一方、前期比では、店舗が-3.7、オフィスが-3.9と減少しています。

また、倉庫や工業地で増加傾向が見られるのは、一時期のコロナによる減少傾向が回復しつつあると考えてよいでしょう。

不動産価格指数の算出方法

取引事例データは次の3ステップで作成され、不動産価格指数の算出に利用されます。

  1. アンケート調査
  2. 現地調査
  3. 登記情報調査

住宅については、おもにアンケート調査と登記情報調査に基づいて推計をおこないますが、公表する際は、過去のデータや現地調査の情報もプラスされています。

また、商業用不動産に関しては、取引事例データのほかに、J‐REIT適時開示資料から収集したデータも加味しているのが特徴です。

下記では、それぞれの方法について詳しく説明します。

アンケート調査による算出

不動産の売買をおこなった人からアンケートを取り、その結果から算出しています。

これは、120万件以上の取引を有しているデータベースの不動産の取引価格情報提供制度を利用しているため、実際の声を反映でき、実情に基づいた算出となっています。

また、不動産取引価格情報では、各都道府県でどのような取引があったのかも検索することが可能です。

現地調査による算出

現地調査は、不動産鑑定士が実際に物件に足を運び、土地や不動産がどの程度の価値があるのかを管理・使用状況などの環境も含めて鑑定するものです。

『不動産の現地調査』

  • 土地の種類の確認
  • 不動産自体の調査
  • 周辺環境の調査

上記の調査は一例ですが、不動産鑑定士が現地に出かけ、調査した結果を過去のデータに反映することで、より正確な取引情報を公表できます。

登記異動情報による算出

その物件の場所や取引の様子がわかる一覧が登記異動情報で、不動産価格指数の算出には、登記異動情報を基にした情報も使用されています。

法務省法務局の有料サービスの登記情報を利用すると、その物件の場所や取引内容をチェックできます。

この方法は、正式な登記から確認をとっているため、事実と相違のない正確な情報をもとに算出しているといえるでしょう、

また、登記異動は、固定資産税などの税金にも関係してくる不動産の大切な情報です。

不動産価格指数の活用方法とメリット

不動産の売買を検討している場合、不動産価格指数を上手く活用することで、満足できる取引をおこなうことができます。

ここでは、活用方法やメリットについて解説します。

不動産市場の動向を確認する

国土交通省が公表している信用度の高いデータで、不動産市場の動向をこまめにチェックできます。

毎月公表しているため、長期の価格推移だけでなく、直近の動向も把握しやすいのが特徴です。

また、不動産市場の動向を把握することで、価格が上昇したときに売却でき、価格が下落傾向のときに不動産を購入できるなど、自分にとって有利なタイミングで取引をおこなえるのが最大のメリットといえます。

不動産の購入タイミングを計る

「指数が上昇傾向の際に売却する」「指数が下落傾向のエリアは避ける」など、不動産を購入するタイミングの判断に活用できます。

たとえば、所有する不動産が高くなると予想できるなら、売却のタイミングをずらすなど、損をしないように冷静な取引ができるということです。

直近の価格動向を確認しておくことで、物件の購入や売却の判断がしやすくなるのは、売り手にとって大きなメリットです。

金融危機を回避する

短期・長期の不動産指数をこまめにチェックできることから、過去にあった不動産による金融危機などのような危機的状況を回避し、危機に陥らないような対策を立てられます。

また、不動産価格指数の発表により、不動産の動向が可視化され、透明性が高められることから、投資に対して安心感を与えられます。

不動産価格指数に関するよくある質問

ここでは、東京や大阪の不動産価格指数や今後の不動産価格の動向など、不動産価格指数に関するよくある質問をピックアップしています。

今後、不動産の売却や購入予定のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

東京や大阪の不動産価格指数は?

▽横にスクロール可能です▽

都道府県別 住宅総合 住宅地 戸建住宅 マンション(区分所有)
不動産物価指数 前年比(%) 不動産物価指数 前年比(%) 不動産物価指数 前年比(%) 不動産物価指数 前年比(%)
東京 157.8 2.0 137.4 0.6 132.6 2.3 187.5 2.0
大阪 120.9 5.4 100.4 3.4 109.6 4.4 193.1 2.6
愛知 144.5 1.4 127.9 0.9 125.7 8.0 187.6 ー2.0

不動産物価指数は、不動産の種類だけでなく、エリア別でも細かく指数や動向を把握できるように、データが示されていますが、都道府県別は、東京・大阪・愛知の3都府県のみ公表されています。

大阪は、東京・愛知に比べると、住宅地・戸建て住宅・マンション(区分所有)のすべてで、伸び率が低く、マンションは前年比よりも減少しています。

ただし、2025年の大阪万博開催にあわせて、大阪駅周辺も「うめきた2期」の開発がおこなわれることから、今後不動産価格の上昇に期待できます。

一方、ここしばらく続いている東京の再開発事業もまだまだ続く模様で、2027年竣工予定の「Tokyo Tower(大手町エリア)」では、あべのハルカスを抜いた高さ390mのタワーが建設される予定です。

東京・大阪ともに、この再開発が不動産価格を上昇させる要因として考えられていますが、その理由は以下の通りです。

  • 商業施設の充実
  • ブランド価値がアップする
  • 住みたい人が増加する

商業施設が充実することで利便性が高まり、将来的にはエリア全体の価値が高まることが期待できます。

また、実際に再開発の予定がある東京の「Torch Tower(大手町エリア)」と「グラングリーン大阪(うめきた2期地区)」には、下記の商業施設が入る予定になっています。

Torch Tower(大手町エリア)

東京の新たなるシンボルタワーとして(ショップ・レストラン・オフィス・ホテル・展望施設)などが入居する予定
公式サイト

グラングリーン大阪(うめきた2期地区)

世界をリードする都市空間として(都市公園・オフィス・ホテル・ショップ)などあらゆる施設が入居する予定
公式サイト

不動産価格は今後下がる?

不動産の価格は過去10年上昇傾向にあり、アフターコロナとなった2024年の現状では継続されると予想されます。

ただし、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする日本経済に大きな打撃を与えるような景気変動が起きた場合は、下落する可能性がないわけではありません。

そのため、今後不動産の売買を検討している場合は、こまめに不動産価格指数をチェックし、自分が有利となるタイミングで取引をおこなえるように、事前にしっかり準備しておくことをおすすめします。

不動産価格指数まとめ

不動産価格指数とは、不動産価格の動向を指数化したものです。

不動産の種類別、エリア別の不動産取引の流れを時系列に沿って把握できるため、「上昇傾向にある場合は、売却価格を強気に設定する」、「不動産を購入する際は、下落を狙って購入のタイミングを遅らせる」など、直近の不動産取引の動向にあわせて、適切な不動産取引に活かせる可能性があります。

分かりやすくグラフや表などにまとめられているので、最新の取引データや市況データとして活用することで、冷静な売買をおこなえるでしょう。

また、不動産価格の指数をこまめに把握・公表することは、国としても不動産による金融危機を回避するための対策を立てる上で、大きな意味を持っています。

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