いらない土地を国に返す「相続土地国庫帰属法」のメリット・デメリットを解説！

相続した土地などで、不要な土地だった場合、国に土地を返すことができるのか気になりますよね。

土地は所有しているだけで税金もかかり、売却しようと思っても売れにくい土地もあります。

この記事ではいらない土地を国に返す制度について解説します。

国に土地を返すための相続土地国庫帰属法とは？

相続土地国庫帰属法は、土地所有者が相続放棄や売却を行わなかった場合、その土地が国に帰属する制度です。

この制度によって、多くの田舎の空き家や荒れ地が国に返還され、地方自治体の負担軽減や国土の有効活用に繋がるとされています。

しかし、一方で、所有者が望まない土地を国に取られることや、遺産相続時に問題が生じることなど、様々な問題が指摘されています。

相続土地国庫帰属法の歴史と背景

相続土地国庫帰属法は、昭和22年に制定された「相続税法」の改正によって施行されました。

この法律は、相続財産の中にある土地について、相続人が放棄する場合に国に帰属させることで、地方自治体に負担をかけずに土地を有効活用することを目的としています。

相続土地国庫帰属法の対象となる土地の種類

相続土地国庫帰属法が適用される土地は、主に次の3つの場合に該当します。

1. 未利用地や耕作放棄地など、実質的に価値がない土地
2. 相続人の中で、土地を相続する意思がない人がいる場合
3. 相続人の中で、土地を相続したい人がいる場合でも、その人が相続税を支払うことができず、土地を手放すしかない場合

以上のようなケースに該当する土地は、国に帰属されます。

ただし、農地については、農地法によって、一定の条件を満たす場合には、国に帰属されることはありません。

国に土地を返せる相続土地国庫帰属法のメリット・デメリット

相続した土地を手放すことができない場合や、維持することが負担になってしまう場合、相続土地国庫帰属法を利用することで国に土地を返すことができます。

この制度にはメリットもありますが、一方でデメリットや課題も存在します。以下で詳しく解説していきます。

相続土地国庫帰属法を利用するメリットとは？

相続土地国庫帰属法を利用することで、相続人が所有するいらない土地を国に返すことができます。

具体的には、相続人が相続した土地の中で、自分たちで管理することができない土地や、相続人が生活していない地域にある土地などが対象となります。

相続土地国庫帰属法を利用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

土地管理の負担軽減

相続した土地を自分たちで管理することができない場合、相続人は管理費用や税金を支払う必要があります。

相続土地国庫帰属法を利用することで、国に土地を返すことでこれらの負担から解放されます。

国による土地管理

相続した土地を国に返すことで、国が土地を管理することになります。

国が土地を有効に活用することで、地域の経済活性化につながる可能性があります。

相続土地国庫帰属法のデメリットや課題は何か？

相続土地国庫帰属法のデメリットや課題としては、以下の点が挙げられます。

財政負担の増加

国が土地を管理するためには、費用が必要です。相続土地国庫帰属法を利用することで、国の財政負担が増加する可能性があります。

農地の扱いについての問題

相続土地国庫帰属法は農地についても適用されますが、農地を国に返すことで、地域の農業が維持できなくなる可能性があります。

相続放棄手続きの手間：相続人が相続放棄手続きを行う必要があるため、手間がかかる場合があります。

以上が、相続土地国庫帰属法のメリットとデメリットになります。相続人が所有するいらない土地を国に返すことで、地域の負担を軽減することができます、

田舎の土地を手放す際に知っておきたい相続放棄国庫帰属手続きの流れ

相続放棄国庫帰属制度を利用することで、土地を手放すことができます。

相続放棄国庫帰属制度は、相続人が相続した土地を国が受け取り、国有化することで、放置された土地を管理・活用することが目的です。

以下の2つの手続きを行うことで、国に土地を返すことができます。

相続放棄とは？手続きの流れを解説

相続放棄とは、相続人が相続権を放棄することをいいます。

相続人が土地を相続した際、土地に対して膨大な負担がかかることがあるため、相続人が土地を放棄する場合があります。

相続放棄を行うには、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に届け出をする必要があります。

国庫帰属とは？手続きの流れと注意点を解説

国庫帰属とは、相続人が相続放棄した土地を国が受け取り、国有化することをいいます。国庫帰属には、土地の種類によって異なる手続きが必要です。

手続きには、国土交通省や地方自治体などに申請する必要があります。

また、国庫帰属により国有化された土地は、利用目的や用途によって処理されるため、その後の利用には注意が必要です。

相続土地国庫帰属法が及ぼす影響について

相続土地国庫帰属法が実施されることで、地方自治体の財政や土地の保全にどのような影響があるのでしょうか。

地方自治体の財政に及ぼす影響を考察する

相続土地国庫帰属法によって国が土地を受け取ることにより、自治体による土地所有による収入が減少する可能性があります。

また、相続税の納税者が国に変わることで、自治体にとっての税収減少につながる可能性があります。

しかし、一方で、国が受け取った土地を適切に活用することで、地方自治体が抱える財政問題の一部解決につながる可能性もあります。

農地や山林の保全に及ぼす影響を考察する

相続土地国庫帰属法によって国が土地を受け取ることで、土地の保全や管理についても国が責任を持つことになります。

そのため、国が農地や山林の保全に力を入れることで、環境保全や地域の資源活用につながる可能性があります。

一方で、国が土地を所有することで、地域住民の土地利用に対する制限が生じることも考えられます。

地方自治体の負担軽減につながる？土地放棄制度と相続土地国庫帰属制度

土地の所有者が所有権を放棄することによって、土地放棄制度と相続土地国庫帰属制度が利用されます。

土地放棄制度は、農地や山林の放棄に関する制度で、相続土地国庫帰属制度は、相続人が相続放棄を行った場合に、国に土地を帰属させる制度です。

土地放棄制度とは？相続土地国庫帰属制度との違いを解説

土地放棄制度は、農地や山林の所有者が、耕作放棄や森林放棄などを理由に、土地の所有権を放棄することで、国が買い上げることができる制度です。

相続土地国庫帰属制度は、相続人が相続放棄を行った場合、その土地が国有化される制度です。

両制度は、所有権を持っている人が自発的に所有権を放棄する点では共通していますが、土地放棄制度は農地や山林に特化しており、相続土地国庫帰属制度は相続人に焦点を当てています。

地方自治体の負担軽減につながる可能性を考察する

土地放棄制度と相続土地国庫帰属制度は、土地所有者が放棄した土地を国が買い上げるため、その土地が自治体に負担をかけずに済む可能性があります。

また、放置された土地が発生することによる環境破壊や景観の悪化を防ぐこともできます。

しかし、一方で、土地所有者が意図的に所有権を放棄することで、自治体の財政への影響が出る可能性もあります。

また、放棄された土地の管理や処分に関する費用や、国が買い上げた土地を利用する方法についての問題も生じるため注意しましょう。

相続土地国庫帰属法が改正される？要件や条文の見直しの動向

相続土地国庫帰属法は、相続人が土地を放棄した場合に国に帰属させることで、放置された土地の有効活用を促すことを目的としています。

しかし、現在の法律には課題や問題点が指摘されており、改正が求められています。

相続土地国庫帰属法の改正が求められる背景を考察する

改正が求められる背景には、以下のような理由が挙げられます。

まず、相続土地国庫帰属法は、相続人が放棄した土地に対して国が所有権を取得することができますが、国有化された土地の管理や活用に課題があることが指摘されています。

また、相続人が土地を放棄する理由には、土地の維持管理や税金負担などが挙げられますが、法律が改正されない限り、これらの問題は解決されません。

さらに、現行法では、相続人が土地を放棄することができる条件が限定されており、多くの場合に放棄が認められません。

そのため、土地を手放したい相続人が増えている中で、法律の見直しが求められています。

要件や条文の見直しの動向を解説する

現在、相続土地国庫帰属法の改正に向けた動きが進んでいます。

改正案としては、相続人が土地を放棄する条件を緩和することや、国有化された土地の管理や活用に関する規定の充実が検討されています。

具体的には、相続人が放棄できる条件を、相続人が土地を維持することが困難である場合に限定することが検討されています。

また、国有化された土地の活用については、自治体が積極的に活用できるようにするための支援策の充実が検討されていますが、要件や条文の見直しには、国会での議論や関係機関との協議が必要です。

国に土地を返す方法のまとめ

国に土地を返す方法として、「相続土地国庫帰属法」とは、相続人が土地を放棄した場合に、その土地が国に帰属する制度です。

これにより、地方自治体の財政負担軽減につながる可能性があるとされています。

また、相続土地国庫帰属法には、要件や条文の見直しが求められる課題があります。そのため、改正案が提出される動きがあるとされています。

一方で、「土地放棄制度」とは、放置された土地を有効活用するための制度です。

土地を放棄している所有者や相続人は、この制度を利用して土地を他者に払い下げたり、地方自治体に譲渡することができます。

土地の保全や活用につながる制度であるため、相続土地国庫帰属法とともに、注目を集める制度となっています。

もし、所有している土地を国に返したい場合は参考にしてみてください。